1.プライマリー・バランス(基礎的財政収支)の制約がある限り、この国は確実に亡国の憂き目にあう。PB制約のせいでデフレが続き、貧困・格差社会が拡大する。PB制約とは「政府は税収の範囲で、支出しましょう」というから、デフレで税収が少ない時代には支出がどんどん削られる。
2.デフレは内需(消費や投資)が冷えこんでしまう現象で内需拡大が必要不可欠なのに、政府が支出を削っていけば、デフレから脱却できるはずはない。デフレの最大原因はPB制約にあり、このせいで国民は貧困に苛まれ、格差社会が広がっていく。
3.財政が悪化する。「PB制約」は財政健全化のために必要だと信じられている。多くの経済学者、エコノミスト、政治家、官僚が、この説を信じ、PB制約を守ること、イコール、財政再建だ、と考えている節すらある。これは完全な間違いで、財政悪化の原因は「デフレ」だ。
4.日本は98年にデフレ化するが、その前後で、国債発行額はナント三倍近くに跳ね上がり、20兆円近くも増えている(10年平均が13.1兆円→32.4兆円)。デフレになれば、あらゆる経済活動が停滞し、税収が激減するからだ。これが日本の「財政悪化」をもたらしている。
5.「PB制約」はデフレを導き、PB制約が財政悪化を導いているという次第だ。商売人がケチケチ(=PB改善)すれば、「目先の倹約」はできても、お客さんをどんどん失って、結局「貧乏」になるという、至って当たり前の普通の話だ。
6.「労働生産性の向上」や「産業競争力の強化」が必要だが、「生産性」が落ちて「競争力」が低下している最大の原因もまたデフレだ。産業競争力の最大の源泉は各企業の投資だ。デフレであれば当然「投資」は冷え込む。「PB制約」があれば「政府」もまた投資しない。実際、政府による投資はその前の半分以下だ。
7.PB制約は、デフレを導いて民間投資を冷え込ませると同時に、直接的に政府投資も減り、科学技術力の凋落も導き、このトリプル効果によって競争力を低下させている。さらには、「労働生産性」が低いのも、デフレが原因。労働1時間あたりが生み出した付加価値の合計も減る。
8.付加価値の国民全体の合計がGDPで、GDPが減れば労働生産性は下がって、増えれば上がる。だから、PB制約がデフレを導き、GDPの縮小をもたらし、最終的に、日本の今の低い労働生産性の低下をもたらしている。PB制約はデフレ化と地方へのインフラ投資の抑制の双方を導くダブルで地方を疲弊させた。
9.PB制約のために、巨大災害や極東有事などが生じた時、大量の人命が失われ、二度と回復できないほどの深刻な被害を受ける危機が高まっている。経済的豊かさや安全保障を毀損しているだけでなく、日本人が日本人であるための文化や教養すら、毀損し始めている。
10.日本が後進国化するPB制約を日本政府が持ち続ければ、デフレは確実に継続し、その結果、このままデフレが続けば、かつて2割弱もあった日本のGDPの世界シェアは近い将来、メキシコ程度の水準にまで凋落する。
11.政府支出(上の線)と税収(下の線)が、バブル崩壊以降、大きく乖離し、税収を支出が大きく上回っているーーーこのワニの口を閉じない限り、この国はハタンする、だから増税だ! というレトリックが繰り返されてきた。この両者の線の差が何かと言えば、もちろん「公債発行額」。で、(その公債の中で主要な位置を占める)国債発行額のグラフをこのワニの口のグラフに重ねたのが、この図です。ご覧の様に、この国債発行額は、98年を境に一気に三倍にまでふくれあがり、20兆円も増えているのです!つまり、ワニの口が開いている最大の原因は、デフレだ、ということがハッキリとわかります。なので、財政再建をしたけりゃ、デフレを終わらせればそれでよい。
12.なんで98年にデフレになったのかと言えば、増税したから、なんですねw この国は皮肉な事に、財政健全化したくて増税したら、もっと酷く財政悪化しちゃった、という愚かな顛末になっているわけです。 まさにPB亡国論ですね。