1.経済のパイ、名目GDPを重視し、その規模を拡大させるために、金融、財政政策、成長戦略などを総動員する。安倍首相が「600兆円をめざす」と表明した。首相が今後、明確にその達成年次を定め、政権のコミットメント(約束)とすれば、世界初の名目GDP目標政策となる。
2.14年度のGDPを基点にすれば、20年度までの年平均名目成長率は3・4%となる。最近の先進国の平均名目成長率は3・7%(日本は0・3%)だから、3・4%は決して無理な数字ではない。インフレ率は日銀が掲げている2%の物価安定目標を実現し、実質成長率を1・4%とすれば済む。ところが、14年度の消費税増税後、需要が低迷し、デフレ圧力が再燃し、2%インフレ率はおぼつかない。日銀にはその自覚があり、いずれ追加緩和に踏み切ると期待される。
3.財政政策は財政を仕切る財務官僚は緊縮財政路線で一貫しており、御用経済学者たちが消費税を増税しても景気には響かないと触れまわる。財務官僚に洗脳されている日経や朝日新聞などは増税と歳出削減でないと財政再建が不可能という論陣を張ってきた。慢性デフレとゼロ成長の「空白の20年」であるのに、これら御用学者、メディアには何の反省もなく、相変わらず緊縮財政を唱え、世論をミスリードし続け、17年度の予定通りの消費税増税実施を迫っている。この財政緊縮病一掃の鍵を握るのは首相のリーダーシップしかない。
4.12年末にスタートしたアベノミクスの成果は「第1の矢」異次元の金融緩和効果で日銀資金は6月末までに181兆円、9月末までに200兆円以上も増えた。6月末までに企業と金融機関の内部留保である利益剰余金は80兆円増えた。日銀資金の増発に誘導されて円安が進行し企業収益を大幅に増えた。
5.14年度の企業全体の税引き前利益は4兆円増えたが、利益剰余金は26兆円も上積みされた。これはアベノミクスのおかげである。その80兆円のうち半分でも国内向け設備投資や賃上げに回せば、14年度490兆円のGDPはぐっと600兆円に近づく。投資や所得増による波及効果でGDPは飛躍した。