中学入試問題(17)
例1. 37人に962個のビー玉すべてを次のように配った。くじで当たった7人にはA個ずつ、外れた30人にはB個ずつとする。ただし、AはBよりも大きい。AとBに当てはまる数の組みをすべて求めよ(武蔵中2003)。
解説1:題意の通りを式に書くと、962=7A+30Bとなる。不定方程式そのものである。中学入試では難問だ。まず、A>Bだから、962>7B+30B=37Bより、26>Bがわかる。次に各項を7で割って見ると、962=137×7+3で、余りは3となる。右辺の7Aは7で割れるからいいとして、30Bを7で割って、余りが3にならなければならない。
一般に、整数をM,Nとして、M×NをPで割った時の余りは、MをPで割った時の余りR1とし、NをPで割った時の余りR2とすると、
R1×R2をPで割った時の余りと等しくなる。
これを使って、30÷7=28余り2だから、30Bを7で割った時の余りは、(Bを7で割った余り)×2を7で割った余りと等しくなる。この場合は3にならなければならない。このときBを7で割った余りは、0から6まで値をとるから、各値に2を掛けると、
0,2,4,6,8,10,12となり、これら各値を7で割ると、余りは、0,2,4,6,1,3,5となる。これより余りが3になる場合は、B=5となることが分かる。
B<26という制限が付いているから、B=5,5+7,5+7+7=5,12,19となる。これより、元の式に戻って、Aを算出する。A=116,86,56となる。
解説2:理系の大学生でも、予備知識なしでこの問題を出されたら解くのに苦労すると思う。次にもう少しレベルの高い解き方を示す。B<26は利用するとして、式を7で割ることを考えて、次のように変形する。137×7+3=7A+28B+2B この式から、3−2B=7A+28B−137×7
=7(A+4B−137)となるから、3−2Bは7の倍数である。かりに、3−2B=7とおくと、B=−2となり、これも一つの解となっている。ただし、Bは1以上で25以下であるから、Bの最も小さい値は、B=−2+7=5と決まる。後は7ずつ加えて、B=12,19となる。
解説3:合同の知識を使えば、かなり容易に解ける。法7で考えると、962≡30B (mod 7)となる。この式を次のように、137×7+3≡28B+2B (mod 7)すると、3≡2B (mod 7)となる。この式は、
2B≡3+7 (mod 7)でもあるから、B≡5 (mod 7)となる。これより、Kを任意の整数として、
B=7K+5とおける。この式を元の式に代入して、A=116−30Kをえる。A>Bの条件から、
K=0,1,2となる。(A,B)=(116,5),(86,12),(56,19)となる。