日本でも米国から教えられた品質管理とこの信頼性工学が一緒になり、その後のQC大国へと成長を遂げた。問題は信頼性向上のコストにあり、例えば、高信頼性のロケットの部品を2個納入してくれと注文を受けたとする。この部品の検査には破壊検査をしなければならない場合、10個作って8個テストし、全部合格したから、残りの2個を出荷した。この2個とも合格する確率はたった82%しかない。それでは、20個作って18個が良品の場合は91%、50個で96%、100個で98%だから、完全に2個とも合格する保障には莫大なコストがかかる事が分かる。
要するに信頼性向上にはコストが伴うことが分かる。信頼性はカネくい虫なのだ。どこかで信頼性と妥協しない限り、メーカーとして成り立たない事になる。月へ人を運んだアポロ計画でもこの信頼性と経費については多くの時間がさかれている。そして、この時の結論は品質管理の3シグマ管理を上回るスリーナインでという目標を決定した。99.9%まで各部品の信頼性を高めることで妥協した。アポロ13号の事故はあったが、相対的にはこの巨大プロジェクトは成功した。その後のシャトル開発でもこの思想は受け継がれている。安全とコストはどこで妥協するのか、技術開発には必ず付きまとうものである。