ある女子大教授の つぶやき

日常の生活で気がついたことを随想風に綴ってみたいと思います。
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安全とコストの兼ね合い
 巨大技術の信頼性

科学文明は人類を疫病や過酷な労働から解放し、食物やエネルギーを安定的に入手する手段を生み出してきた。病気の克服は長寿化を生み出し、労働から解放された人類はスポーツクラブに行ってムダな脂肪を排除し、ダイエット食品という不自然な食物まで製造している。IT技術の進歩で多くの恩恵に浴しているが、コンピュータシステムの故障で多くの記録が失われたり、漏洩したしたりする。車も同じで、自動車事故で失われる世界の生命は年間で10万人に達している。人類の福祉と幸福を目指している技術が、逆に反対の方向に行ってしまうこともある。

 
 


    技術の信頼性を高めることで、どの程度まで人類の幸せに貢献することができるかを研究する分野が信頼性工学である。ものの信頼性研究は第2次大戦中に使われていた無線機や通信機器の真空管にあった。これは日米とも同じで、兵器の電子機器が直ぐに故障する事につながり戦争遂行に多くの支障をきたした。
1950年の朝鮮戦争でも米軍はこの故障で多くのジエット戦闘機を失った。これを機会に電子機器の信頼性向上の委員会ができて、半導体の進歩とともに信頼性向上の体系が出来上がってきた。


   日本でも米国から教えられた品質管理とこの信頼性工学が一緒になり、その後のQC大国へと成長を遂げた。問題は信頼性向上のコストにあり、例えば、高信頼性のロケットの部品を2個納入してくれと注文を受けたとする。この部品の検査には破壊検査をしなければならない場合、
10個作って8個テストし、全部合格したから、残りの2個を出荷した。この2個とも合格する確率はたった82%しかない。それでは、20個作って18個が良品の場合は91%、50個で96%、100個で98%だから、完全に2個とも合格する保障には莫大なコストがかかる事が分かる。


   要するに信頼性向上にはコストが伴うことが分かる。信頼性はカネくい虫なのだ。どこかで信頼性と妥協しない限り、メーカーとして成り立たない事になる。月へ人を運んだアポロ計画でもこの信頼性と経費については多くの時間がさかれている。そして、この時の結論は品質管理の3シグマ管理を上回るスリーナインでという目標を決定した。
99.9%まで各部品の信頼性を高めることで妥協した。アポロ13号の事故はあったが、相対的にはこの巨大プロジェクトは成功した。その後のシャトル開発でもこの思想は受け継がれている。安全とコストはどこで妥協するのか、技術開発には必ず付きまとうものである。

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