1.ホーキング博士は宇宙理論物理学者だが多くの“間違い”もしている。彼は一時期、ブラックホールが情報を破壊すると考えていた。宇宙において質量が実在する間接的な原因であるヒッグス粒子を、誰かが発見するだろうとは考えていなかったが欧州原子核研究機構の研究グループが2012年に発見した。
2.多くの点で正しくもあった。彼とペンローズは一般相対性理論に基づく「特異点定理」と呼ばれる概念を説いた。それはいかなる人間も直接的には観測できないような世界だが、ホーキングの精神はそれをつぶさに“見る”ことができるほど特異なものであるか、あるいは想像できたのである。
3.彼の計算によって、若い宇宙が量子スケールの変動であるインフレーションを通して膨張・成長し、われわれの周囲にある銀河ができあがったことが理解されるようになった。人がいつか他の銀河を訪問することはない、また量子の世界が我々の技術で、その存在を示すことはないが彼がはその両方を描いた。
4.彼はBHは時に爆発すると計算していた。それは誰も描写が困難なイメージだが、彼はそれを人々に説明する事もできた。2009年に退任するまでケンブリッジ大学の教授職にあった。それはニュートン、バベッジ、ディラックが就いていたのと同じ地位だ。1988年『ホーキング、宇宙を語る』は1,000万部だ。
5.1963年に21歳でALSであると診断され、あと2年しか生きられないと考えた。病気の進行は遅々とし、そのとき「驚くことに私はこれまで以上に現在の生活を楽しんでいることに気づいた。自分の研究を進め始めた」。彼は宇宙の深奥から人類の未来にまで目を向け、知性をもつコンピューターの危険性を警告。
6.「いつの日か、誰かが自己複製するAIをつくりだす。それは人間の知性を上回り、新たな形態の生命になるはず」とも。2016年、AI、気候変動、その他の災害によって、人類には1,000年しか残されていないと述べた。そして昨年になって、その予測を更に短縮した。自らの道を変化させようと彼は警告した。
7.ホーキングは、ブラックホールに関して間違っていたのと同じように、見誤っているのかもしれない。だが、彼は常に誰も見ることができなかった世界を数学理論で見てきた。彼が人々に説明するまでは、誰も見ることのできなかった世界だ。