東大入試問題「国語」
1.野家啓一「歴史を哲学する」からの文章が東大入試の国語問題に使われている。歴史的出来事の実在を確証するためには発掘や史料読解などの作業が必要だ。素粒子と同じで実在を否定できないが、それを保証しているのは量子力学の理論だ。歴史も物理も理論的探求の手続きが不可欠であることは同じだ。
2.歴史的出来事は直接的知覚では捉えられず、歴史上の出来事を具体的、客観的な史料に基づいて捉え、それらを物語りという連関によって互いに関係づける理論的探究を通じて、初めてその本質を明らかにすることができる認識対象だ。電子、光子などの量子の捉え方とよく似ている。
3.野家 啓一(のえ けいいち東北大学文学部教授). 1949年仙台生まれ、仙台第一高等学校、東北大学理学部物理学科。東京大学大学院科学史・ 科学基礎論博士課程。専攻は科学哲学、言語哲学。近代科学の成立と展開のプロセスを、科学方法論の変遷や理論転換の構造などに焦点を合わせて研究している。