裁量労働制
1.自分もそうだが、殆どの人は不適切データで混乱していた事しか分からないだろう。このデータは裁量労働制と残業時間は無関係だから意味はない。企業が裁量労働制を悪用してタダ働きさせるというのは裁量労働制の問題ではなく、社員がノーといえない「正社員」の問題である。
2.コンセプトが混乱しているから、この法案は成立しても大した効果はない。雇用改革で最も重要なのは「雇用の流動化」だが、今回の改革には含まれていない。雇用を流動化すべきだという財界と正社員を守ろうとする労働組合が対立し、改革としては裁量労働制の拡大と高度プロフェッショナルだけが残った。既に裁量労働制は外すと首相が答弁している。
3.終身雇用と年功序列の日本的労働慣行で高度経済成長を成し遂げてきたが、80年代末期のバブル崩壊でこの慣行が崩れた。今では非正規雇用が30%になり、これに人で手不足が重なり、経済成長の足かせとなってきている。
4.90年代までドイツの雇用保護は手厚く解雇は事実上できなかった。シュレーダー政権は、2003年には金銭的な補償による解雇を可能にし、失業手当の給付を短縮するなどの労働市場改革法を実施した。これにより一時的には失業率は上がったが、その後、大幅に改善し今ではECで「ドイツ一強」といわれるほど経済は強くなった。