ある女子大教授の つぶやき

日常の生活で気がついたことを随想風に綴ってみたいと思います。
暗号解読とコンピュータ
ーーー10月20日の講演に関連してーーー

A.チューリング(1912−54)
1.映画『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』は、英の天才数学者アラン・チューリングが、第二次世界大戦中にドイツ軍の暗号エニグマを解読するドラマを描いている。彼は現在のコンピューターの基礎をつくった。彼がいなかったら、今日のAppleもMSもなかったかもしれないし、現代のコンピューターも全く違ったものになってしまったかもしれないほどの、20世紀の偉人だ。

2.ケンブリッジ大学で数学を専攻し、1936年に「計算可能な数について」という論文を書く。現代数学の父ヒルベルトが、数学の問題は厳密な論理を機械的に積み上げていけばすべて証明できる、と予言した。チューリングはそれを完全に否定してしまった。彼がその論文で使った手法は、人間の論理思考を機械に喩えることだった。そのモデルは「チューリング・マシン」と呼ばれ現在のコンピューターの基本的なアーキテクチャーを決めるものだ。

3.戦争が始まると、独軍の暗号エニグマを解読するためのチームに参加する。この暗号はタイプライター型の機械にその日の「設定」を施してつくり、受信側の機械を同じ設定にすれば、その暗号文の元の文が出てくる仕組みだが、この設定には天文学的な数の組み合わせがあるから解読は容易ではない。

4.暗号を解く作業は、エニグマという暗号マシンを真似し、その動きを論理的に推測して、その日の正しい設定を見つけ出すことだ。ところがその組み合わせをしらみつぶしに試すには、人手で計算すると、何千万年もかかってしまう。暗号解読者が四苦八苦して解読作業を試みたが、結局は人間の知恵だけでは限界があり、機械の手を借りざるをえないということになる。

5.エニグマ暗号の解読がノルマンディー上陸作戦を成功に導いた。解読された通信文から、ドイツは連合国軍の上陸地点はノルマンディーではなく、カレーだと信じ込んでいることが判明した。そこで、連合国軍はノルマンディーに上陸し、トイツ軍は裏をかかれて負けた。連合国軍がいつどこに上陸しようが、最終的にはドイツ軍は敗北していたと思われるが。
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