ある女子大教授の つぶやき

日常の生活で気がついたことを随想風に綴ってみたいと思います。
女の一生 2部

1.昭和初期の長崎。サチ子はミツの孫でカトリック信者、来日したコルベ神父から「人、その友のために死す。これより大いなる愛はなし」という絵をもらう。ある日、修平という少年に出会う。悪戯っ子だったが好意を抱き合う。コルベ神父はポーランドに帰る。サチ子は女学校へ修平は東京の大学へ。

2.コルベ神父はナチスに捕まり、アウシュヴィッツに送られる。若い囚人の身代わりとなり、飢餓室に入れられて死ぬ。サチ子や修平も敵国の宗教で憲兵に疑われ迫害を受ける。 修平は学生の徴兵延期が廃止されることを知り、基督教徒として人を殺す兵隊になる ことに悩む。

3.修平は長崎に帰り、サチ子と島原半島へ行き二人だけの時間を過ごす。修 平は佐世保の海兵団に入隊し航空隊に所属した修平はやがて特攻になる。サチ子に最後の手紙を送り特攻隊員として戦死する。長崎には原爆、30年後、サチ子は結婚し息子と娘を産んだ。秘密にしている過去も含め幸福を神に感謝。

4.「人、その友のために死す。これより大いなる愛はなし」これは、コルベ神父がキクに残した聖句で、ヨハネの福音書15章13節にある言葉。この本の最大の主題。コルベ神父は この聖句の通り家族ある囚人の身代わりになって死ぬ。コルベ神父の話は実話で他の作品にも登場し目頭が熱くなる話だ。

5.《世界って、どうしてこう美しいんだろ》(V.E.フランクル『夜と霧』)。アウシュビッツで捕虜が、一日の強制労働終了後、西方の暗く燃え上がる雲を見て発した言葉。どんな絶望的な状況においても、人間には希望が ある。遠藤周作も小説やエッセイなど でよく引用している。

6.《人間がこんなに哀しいのに 主よ 海があまりに碧いのです》(遠藤周作「沈黙の碑」)。長崎外海町の遠藤周作記念館にある「沈黙の碑」に彫られている言葉。サチ子の言葉《自然がこんなに美しいのに人間だけはなぜ血を流しあうのだろうか>。「神の沈黙」、 「神の大いなる寛容」も含まれている

7.この『二部』は、同じ長崎を舞台にした『沈黙』や『一部』と比べると、どこか明る い希望のようなものが作品全体から感じられる。自然の描き方が明るいからというのがその一つの理由だ。引用したサチ子の言葉もそれを表している。

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